忍者ブログ

Silver Rain:Sharmanic Girls act1神奈村 要

ある朝、北海道のとある住宅地。
剣道の竹刀袋を手に学校の通学路を友人と歩く少女がいる。
首に長いマフラーを巻き長い黒髪に青いリボンのバレッタを付けてストレートにしていて
背は低く一瞬中学生にも見えるが、彼女が発する雰囲気は高校生のそれだ。
神奈村 要、高校1年剣道部所属。
悩みは二つ
背が低く歳相応に見られない事。
「かなめ~ニュース見たよ、地方大会優勝おめでとう!!」
「ん~、自分でもびっくりだよ。」
賞賛に答えつつも、どこか周りへの警戒を怠らないような要の雰囲気は友人もとうに慣れたものなのだろう
その所は対して気にする様子もなく友人は続けた
「今日はカラオケかなんか行く?要の優勝記念に私が奢るよぉ~」
「おぉ~、ありがとう…」
そう言いかけた所で、要は何かの気配を察知した。
「…あ」
「ん?どうしたの?」
「ごめん、今日用事があるからまた今度」
「あ、ちょっと要!?」
同僚は呼び止めようとするが要は足早に別の道を歩いていってしまった。
「…用事って何?」
同僚の声が虚しく秋の空に響いた。

「…撒けたか?」
平静を装って全力で歩いたのだろうか
要は辺りを見回し、怪訝な顔をした。
要には見えるのだ…いや、認識できると言うほうが正確か
周囲を漂う半透明の人間のシルエットのような何かが
更にはそれが自分に寄ってくる光景が。
神奈村 要、アイヌ民族の時代から続くまじない士の末裔。
悩みはもう一つ。
霊媒体質。
竹刀袋から愛用の木刀を取り出し、何か目掛けて振る
何かには質量がなく、あっさりと散り散りになって消滅する。

近日、奴らの数が多い。
この数週間で異常に増えている。
「最近多いな、事故でも多発してるのかな?」
そう一人ぼやき、この愛刀を手に入れた日の事を思い出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

それはその年の春、要が高校の入学式を迎えた日の事だった。
「要、今日でおまえも高校生だ
そろそろこいつをおまえに授けようと思う」
要の実家は道場も営んでいる、その掛け軸の下にある木刀を
髭の生えた初老の男…要の父は要に差し出した。
「それは神奈村家が先祖代々から受け継いだ神木を刳り貫いて作り出した木刀だ。
七百年よりも昔、初代神奈村家頭首が呪を込めて植えた木だ
恐らくは『そいつら』も祓う事ができよう。」
要は幼い頃から奴等を視る事ができた。
父も嘗ては、実体を持ち世界に災いを呼び込んだ奴等と戦い
やがては奴等が見えなくなった。
古代の文献で、見えざる狂気-世界決壊の影響を長く受けた成人の能力者に起きる精神的な異常-の存在を知って自ら能力を封じたからだ。
要は父から木刀を受け取り、父に対して自分の力への疑問を始めてぶつけた。
「…私も、力さえ封じればあいつらが見えなくなるんじゃないの?
何で、私まで奴等と戦う術を持ってまでこの力を持ち続けなければならないの?」
要は木刀を高く掲げ、続けた。
「それが神奈村家の宿命だから…なんて言ったら私はこの木刀を叩き折って父さんから力を封じる方法を無理にでも聞き出す。」
要は昔から強かった、この木刀を手に入れる前から奴等を消滅させるに至らずとも生まれてから今まで鍛えた力で追い払う事さえできた
まして力を失った今の父が相手なら、文字通り力尽くでその発言を実行する事もできるだろう…
要の父はその威圧感に一瞬言葉を詰まらせた後、答えた。
「…意味があるからだと思う、少なくとも俺は昔この力で母さんを護ることができたからな…
恐らく、力を使うのに限界があるのはもう俺にこの力を持つ意味が無いからだ
要は自分で自分の身を護ることができるしな、今俺にできることはこうして武器と知識を与えることだけなんだよ。」
「…意味、ね。」
要は納得した様子で木刀を下げ、姿勢を正し礼に従って父に頭を下げた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

要が追憶しながらいつもと違う帰路を辿っていると、ふと足元に何かがぶつかった。
何かと思い足元を見ると、何か鳥のような黒いものが文句を言うように足を叩いている。
しかし、その形状はよく視れば視るほど鳥類とは程遠く生物的にありえない形をしている。
どうやら奴等と同種のものらしいが、それには実体があった。
しかし、暫く要の足を叩いたそれは力尽きたように項垂れて黙ってしまった。
要は鞄からアンパンを取り出すと、小さくちぎってそれに差し出した。
「…これ、食べる?」
神奈村 要、将来の夢は獣医。
理由は一つ、小動物が好きだから。
「…おいで、蹴っちゃったお詫びにもっと食べさせてやるから。」
そう言って出された要の手に、それは大人しく飛び乗った。

「おぉ要、おかえり。」
エプロン姿の父が要を出迎える。
ピンクのレースつきエプロンを作務衣の上に着た髭面初老の男の出迎えに
要はくしゃりと怪訝な顔をして、思いついたように自分の肩を指差し言った。
「父さん、これ視える?」
「んん?見えないが…まさかその類のもの連れ込んだんじゃないだろうな?」
今度は父が怪訝な顔をした。
「大丈夫、こいつの主食はパンだよ…私の知る限りでは。」
要の父から見れば、パン屑が浮いて自然消滅しているように見えるが
実際のところは、黒い鳥のような何かが細い腕でパン屑をカリカリと食べているのである。
「……あ。そうだ要、地方大会優勝おめでとう。」
「遅い、それ一昨日のニュースだよ。」
いまいち冴えない父に要は文句を言う。
「うぐ、そっちからその肩のやつの話題を振ったんだろう…
あとな、あのニュースを聞いて嬉しいニュースが追加でやってきたぞ?」
「何?」
父は髭の中から白い歯を見せてにんまりと笑い、要に手紙を渡した。

宛名は神奈村 要、差出人は私立・銀誓館学園。
PR

Silver Rain:at・tach・ment 2-1

■Fool Dance(前編)

ある真夜中のことだった・・・
『それでね、その旅行でこの写真を撮ってから暫くして肩が痛くなったもんだから
焦って有名な某霊能者のおばちゃん所行ったんですよぉ』
テレビから芸能人のトークショーが聞こえる、どうやら心霊写真絡みの話題のようだ。
芸能人の話に司会の人が『ふんふん、それで?』ど聞き返す
芸能人-茶髪に白のメッシュを入れた中年男性-は大げさな身振り手振りを交えてトークを進める
『そしたらそのおばちゃん・・・
「これは過去の戦で亡くなった武将の霊でしょう、死に場所を荒らされて相当怒っているようです
すぐに供養したほうがいいでしょう」と言うんですよね。
この写真撮ったの、フィンランドの平原なんですけど!!』
芸能人のつけたオチで、観客席にドッと笑いがあがる。
恐らくこれは再放送なのだろう…テレビの前で、芸能人の男は転がっていた。
明るいアロハシャツで着飾った背中には赤い染みが大きく滲んでいる
『やっぱね、こんなの居る筈ないんですよ!!居たらまず、俺祟られますからね!!』
『ん~?オカッペ何か祟られるような事したの?』
オカッペと呼ばれたテレビに映る芸能人は一瞬黙った。
そしてすぐに明るい顔を取り戻して言った。
『…いや~、人気者はよく恨まれるっていうじゃないの!!』
再び観客席にドッと笑いが上がった。
『とにかく、そういう霊とか怨霊とかってのは居るわけないんですよ!!』
テレビの乗った土台の足元に血が流れ込む・・・

その夜、芸能人・・・岡田平太郎は祟り殺された。



「これが今回の予報です。」
「オカッペっていうのは最近人気になってきた芸能人で、こういった超常のものを恐れないジョークが人気を呼んでいるらしいわ。」
運命予報士-世界結界の歪みと、それが発生するレベルの事件を時間を超えて探知し予言するジョブ。
分類的には能力者ではなく、世界結界に絡む世界の真実を知る一般人の銀誓館生徒である。-の予報に
GIGSの団長、安達真央が解説を加えた。
「それが明後日の夜、本当に祟られるという訳か。」
「罰当たりが…」
ある意味では自業自得のような気もする。
亨・楽音・明菜の三人が呆れ顔で聞いている横で、夏鈴が目を輝かせて言った。
「その依頼がGIGSに届くって事は、オカッペさん近所に住んでるって事ですか!?」
夏鈴は店で客につけているテレビからお笑い系というジャンルの番組にある程度目を通している。
そうでなくとも、有名人が近所に住んでいるという事がまず嬉しいのだろう。
いささか興奮気味で真央と予報士に詰め寄った。
予報士はごほん、と咳払いをして続けた。
「ゴーストの全容は残念ながら見えませんでしたが、被害者の傷口から日本刀等の鋭利な刃物で傷つけられたものと判明しました。
傷の数から、ゴーストは二刀流の使い手である可能性もありますのでご注意ください…」
予報士の表情が暗くなる。
冷静に、そしてほぼ的確にゴーストの情報をできる限り伝えたいが
彼も一般の学生、人間の死体を覚えて分析することは精神的に辛いのだろう。
「・・・。」
夏鈴はすぐ冷静になり、予報士の肩に手を置いた。
「必ず皆無事に終わらせるから。」
その言葉を聴いて予報士は安心したのか、能力者たちに頭を下げた。

「よろしく、お願いします。」

Silver Rain:at・tach・ment PC Deta

明石亨:中学二年生の魔剣士。
バイト能力はゾンビハンターで典型的なアタッカー。
3年前ゴーストによる能力者連続殺人で両親を失っており
普段は無感情に振舞っているがゴーストに対する憎しみで
戦闘の最中は熱くなり易い。

朝霞夏鈴:中学二年生のファイアフォックス能力者。
まだ新米の能力者で能力の加減が効かないが気にはしていない。
故に彼女の関わる事件では必ず物が一つは炭化する。
明石亨の幼なじみで、3年前から変貌した亨を心配していた。
アームブレードを使った格闘術を得意とする。
朝霞亭という中華飯店の看板娘で料理のレパートリーとスキルが高い。

新明菜:小学3年の土蜘蛛の巫女。
楽音に使える巫女の一族の末裔で土蜘蛛戦争参加の後に学園へ投降した。
若くして清楚を体現した性格で攻撃的な性格の楽音のストッパになっている。
しかし今まで楽音に仕える事のみを教えられて育って来た為
土蜘蛛戦争で対峙し知り合った亨とその幼馴染の夏鈴の下でこれからどう生きるか模索している。
今は楽音と共に奈良県の実家を出て朝霞亭に居候している。

新楽音:明菜と身体年齢を同じくする土蜘蛛の少女。
700年前から土蜘蛛の女王直属の親衛隊だったが土蜘蛛戦争に敗北後学園へ投降した。
能力者としての活動は敗者故に仕方がないことと思っている。
しかし現代によみがえってからは明菜に甘やかされ過ぎているからか
周囲に対して高圧的な態度が多い。

ライオットコネリー:高校2年の音楽魔術師(フリッカークラブ)能力者。
アメリカからの留学生で日本で音楽化デビューを夢見ている。
普段はサボりに買い食いと遊びまわっている不良だが
能力には頼らず自分の力で夢を叶えようと影で努力をしている努力家。
密かに(密んではいないが)夏鈴に想いをはせている。

安達真央:高校3年生でGIGSの団長であり同時に学園でも五指に入る実力の魔弾術士。
常に笑みを絶やさず団員に接するが同時に容赦の無い指令を下す鬼軍曹でもある。
海外出身で魔術を扱う異端者だと大規模な宗教組織に追われ日本に渡来したという記録しか残っておらず
本名さえ知られていないミステリアスな人物。

Silver Rain:at・tach・ment 1

■#1 AsAKatEi nO hItoBItO

朝霞夏鈴、彼女は銀誓館学園の中学二年生であると同時に
中華飯店『朝霞亭』の看板娘でもある。
趣味も兼ねているため暇があればいつもチャーハンを炒めている。
通学路にある朝の朝霞亭に朝食を食べに来る人物は特に家族のように歓迎されるため
彼等を他の常連客は『朝霞亭の人々』と呼ぶのだ。
その中の一人、明石亨は最も長い常連客だ。
朝食を取るためでなく、幼なじみを遅刻させないためである。
「…朝霞!!時間だ行くぞ!!!」
そう叫んで朝霞亭の戸を開ける。
その時は決まって目の前に特盛の中華丼と幼なじみの笑みが待っているのである。
「……パイナップル入ってないか?」
「美味しくなるんだよ~?」

怒ったようなしかめっつらで亨は中華丼をひたすら食す。
彼は学習能力が無い訳でもない。
食べる時間も計算して来ている。
回りから見れば中華丼のパイナップルの味が無駄に出しゃばりそうな程甘い状況だ。
そんな二人を見守るのは朝霞亭の人々。
「いつまでやってて飽きないのかのぅ?」
お子様ランチを食べながら代わった口調でぼやく新楽音。
「楽音様、あれがあの二人の日常なのですよ…多分。」
社会的に妹として扱われている主人に意見する新明菜。
この二人は実家が奈良県にあるため朝霞亭に居候をしている。
昨夜の面は全員が朝霞亭の人々であるらしい。
そこで夏鈴に、来客してきた新しい顔触れが声をかける。
「カリンちゃ~ん、いつものチャーハン一つ大盛でね~。」
金色の長髪を首の後ろで結んだ外国風の青年、名はライオット・コネリー
チャラチャラした恰好のいかにもアメリカ育ちの優男だが
あまりに流暢な日本語を話しているため彼の語学力が確かなものだとわかる。
「私も、チャーシューメン一つお願い。」
もう一人は足元まで届くビロードのストレートヘアー、スタイルのいい肢体を隠すようにコートを羽織る美女。
名は安達・真央。
夏鈴は二人の注文に「ハーイ!」と答えパタパタと奥の調理場へ駆けていく。
早いやり取りに亨は口に含んだ中華丼を飲み込み、それを止めに入るのが遅れた。
「ブッ…ゴクン…オイッ!!…
お前等、遅刻するぞ?
てか夏鈴まで巻き添えにする気か!?」
亨は料理を置いて夏鈴を止めに行こうとするが、コネリーが肩を抱き寄せて言う。
「キョー君キョー君、慣れ切っているキミにはわからなくなっているのかい?
彼女の料理を毎朝食べれる幸せが。
料理と共に振る舞われる彼女の笑顔、この幸せを享受しようとは思わないのかい?」
「それにここの料理はこの辺の何処よりも安くて美味しいしね。
譲り合いの精神って大事よ?」
「だったらもっと早く来いこの遅刻魔共。」
亨はコネリーの腕を振り払い冷徹な返事を返した。
「はい、炒飯一丁に叉焼麺一丁!」
夏鈴が料理を並べた席に二人の高校生は「うわーい」と言って座る。
「早いな!」

そして全員が朝食を食べ終わり、代金を払うや否や
「行ってきます!!!」
その日の朝霞亭の人々六人、朝霞亭の戸を開けて亨を先頭に駆け出した。


道中、走りながら真央が亨に言った。
「あ、そうそう…昨夜の依頼の事だけどね…」
「…ん?」
真央はニッコリ笑って亨に告げた。
「これから暫く、他のチームの倍働いてもらうから。
これは団長指令よ。」
亨は真央の言葉を疑ったが、暫くして聞き返した。
「…なんで?」
「あの惨状を揉み消すのに学園も相当苦労してね
団長の私が責任とって君達働かせるから勘弁っていっちゃったのよ。」
亨は言い返すことが出来ない。
「次の結社活動の日を待っててね。」
真央は屈託のない笑顔で言い放った。
結社活動…倶楽部活動の代わりに銀誓館学園にあるシステムである。
能力者の集まりで、純粋にゴースト退治専門の結社がある。
私立銀誓館学園が鎌倉に設立された理由
それは鎌倉は地形の影響で銀の雨-世界結界の歪みから発生する超常の物質、詠唱銀を含む雨。
この詠唱銀が死人の強い思念を取り込んでゴーストが生まれる。-の降水量が少ないからだ。
しかし、それはあくまで少ないというだけである。
故に、日本中のゴーストが起こす事件に対応する銀誓館学園の能力者達の中には
鎌倉の内側で起きたゴースト事件を専門に解決する事に尽力する結社がある。

高レベルの魔弾術士である安達真央が率いる
亨達朝霞亭の人々も所属する巨大結社

それを『Ginsei Inside Ghost Sreiers』…

『GIGS』と呼ぶ。

Silver Rain:at・tach・ment 0.1

■閑話休題 銀誓館学園


鎌倉、銀誓館学園。
鎌倉市全体を覆うように点在する一大学園都市である。

明石亨達、前回の戦いを勝ち抜いた能力者達はこの学園の生徒だ。
-しかし未発見のタイプの能力者は学園に認識されておらず
近年ではどこかで能力ごとに学園とは違う独自の組織を持って集団行動をとっている-

何故、この現代日本に当たり前のように亨達超常の力を持った存在がいるのか
何故彼等が一つの学園に通っているのか…
それを説明しなければならないだろう。


かつて世界は常識外の神秘に満ちていた。
人々は日夜異世界からの来訪者やゴースト達と戦ってきた…

しかし、その状況に限界を感じた人々は世界総てを覆う『常識』という結界をはり
『常識外』の存在を世界から隔離した。

そして、世界は物理化学…『常識』で成り立つようになりその『世界結界』が造られ700年…
人々は『常識外』の存在を忘却していき世界結界はより強固なものとなっていく…筈だった。


しかし、科学技術の目覚ましい進歩によって人々の常識に揺らぎができ…
世界結界に歪みが生じるようになった。

焼け残った記録と本能的な記憶を頼りに結界の歪みから発生するゴースト達との戦争を勝ち抜いた前世代の能力者達は
能力者の才能ある者達を集め人々と世界の常識を守る大組織を作り上げた。


それこそが、私立銀誓館学園なのである。

 カレンダー 
04 2012/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
 フリーエリア 
 最新CM 
 最新TB 
 プロフィール 
HN:
まっ茶ン
性別:
非公開
 バーコード 
 ブログ内検索 
 カウンター