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2026.06.10 - 
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Silver Rain:at・tach・ment 2-1

■Fool Dance(前編)

ある真夜中のことだった・・・
『それでね、その旅行でこの写真を撮ってから暫くして肩が痛くなったもんだから
焦って有名な某霊能者のおばちゃん所行ったんですよぉ』
テレビから芸能人のトークショーが聞こえる、どうやら心霊写真絡みの話題のようだ。
芸能人の話に司会の人が『ふんふん、それで?』ど聞き返す
芸能人-茶髪に白のメッシュを入れた中年男性-は大げさな身振り手振りを交えてトークを進める
『そしたらそのおばちゃん・・・
「これは過去の戦で亡くなった武将の霊でしょう、死に場所を荒らされて相当怒っているようです
すぐに供養したほうがいいでしょう」と言うんですよね。
この写真撮ったの、フィンランドの平原なんですけど!!』
芸能人のつけたオチで、観客席にドッと笑いがあがる。
恐らくこれは再放送なのだろう…テレビの前で、芸能人の男は転がっていた。
明るいアロハシャツで着飾った背中には赤い染みが大きく滲んでいる
『やっぱね、こんなの居る筈ないんですよ!!居たらまず、俺祟られますからね!!』
『ん~?オカッペ何か祟られるような事したの?』
オカッペと呼ばれたテレビに映る芸能人は一瞬黙った。
そしてすぐに明るい顔を取り戻して言った。
『…いや~、人気者はよく恨まれるっていうじゃないの!!』
再び観客席にドッと笑いが上がった。
『とにかく、そういう霊とか怨霊とかってのは居るわけないんですよ!!』
テレビの乗った土台の足元に血が流れ込む・・・

その夜、芸能人・・・岡田平太郎は祟り殺された。



「これが今回の予報です。」
「オカッペっていうのは最近人気になってきた芸能人で、こういった超常のものを恐れないジョークが人気を呼んでいるらしいわ。」
運命予報士-世界結界の歪みと、それが発生するレベルの事件を時間を超えて探知し予言するジョブ。
分類的には能力者ではなく、世界結界に絡む世界の真実を知る一般人の銀誓館生徒である。-の予報に
GIGSの団長、安達真央が解説を加えた。
「それが明後日の夜、本当に祟られるという訳か。」
「罰当たりが…」
ある意味では自業自得のような気もする。
亨・楽音・明菜の三人が呆れ顔で聞いている横で、夏鈴が目を輝かせて言った。
「その依頼がGIGSに届くって事は、オカッペさん近所に住んでるって事ですか!?」
夏鈴は店で客につけているテレビからお笑い系というジャンルの番組にある程度目を通している。
そうでなくとも、有名人が近所に住んでいるという事がまず嬉しいのだろう。
いささか興奮気味で真央と予報士に詰め寄った。
予報士はごほん、と咳払いをして続けた。
「ゴーストの全容は残念ながら見えませんでしたが、被害者の傷口から日本刀等の鋭利な刃物で傷つけられたものと判明しました。
傷の数から、ゴーストは二刀流の使い手である可能性もありますのでご注意ください…」
予報士の表情が暗くなる。
冷静に、そしてほぼ的確にゴーストの情報をできる限り伝えたいが
彼も一般の学生、人間の死体を覚えて分析することは精神的に辛いのだろう。
「・・・。」
夏鈴はすぐ冷静になり、予報士の肩に手を置いた。
「必ず皆無事に終わらせるから。」
その言葉を聴いて予報士は安心したのか、能力者たちに頭を下げた。

「よろしく、お願いします。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
四人は高級住宅地のマンション、岡田氏宅の前に集合した。
つくづくマンションに縁があるようだ
前回のようなボヤ騒ぎをもう出さないようにと亨心に誓う。
「とりあえず、必要なのはゴーストの情報だ。
オカッペって芸人を知ってる奴はどれくらい居る?」
知る人ぞ知るといった所か
亨の問いに明菜と楽音は反応できず代わりに夏鈴が勢いよく手を挙げた。
「…ちゃんとファンのフリできるか?」
「がんばるよ!!」
夏鈴は自信満々で応えた。

夏鈴がインターホンのスイッチを押す。
『はいはい、どちらさんですか?』
無愛想な声がインターホンから返ってきた。
しかし声はトークショーで聞いた岡田氏の声だということが解り、夏鈴は続けた。
「あの、岡田平太郎さんですよね?」
『あぁ、次のトークショーの予定はまだ後だろ?
もう少し寝かせてくれぇ…』
今日は非番だったらしい、岡田氏の投げ槍かつ欠伸交じりな返事に夏鈴はきょとんとした後、小声で亨に言う。
「…芸人さんの素ってテレビとは結構違うって聞いたけど
、本当だったんだね…」
「しらんって…続けて。」
同じく小声で亨に促されてこほんと咳払いをして、夏鈴はとびっきりの笑顔をしてインターホンに話しかける。
「あの、私たちオカッペのファンなんです!」
『え…あぁ?…ごほごほん…ちょっと待っててな…』
どたどたという音がドアの内側から聞こえ、中からTシャツにアロハシャツというラフな格好をした中年、岡田平太郎氏が顔を出した。
岡田氏はその場にいる面々を見回し、ニカッと笑って言った
「いやぁこんな可愛い子達に恥ずかしいところを見られたなぁ
いや、こん場合聞かれたか?」
男子は一人ということ、それと亨の中性的な顔立ちのせいか全員女子だと認識した岡田氏の発言に亨は眉を動かした。
「おや、君は男の子か・・・こいつは失敬!!」
そういって岡田氏は陽気に笑ってみせる。
(成程、ものを恐れないんじゃなくてただ単にこいつは人に対して失礼を考えないだけか…)
「いえ、いいです。
それより、聞きたいことがあるんですがいいですか?」
岡田氏の人物像を分析しつつ、亨が口を開いた。
「ん?なんだい?」
「この前の番組で言っていた、祟られる心当たりについて…」
・・・・・・・・・
岡田氏はしばらく間を置いた後、目を細めて言った
「……それを知って、どうするのかな?」
とっさに、明菜が言った。
「あ、あの…私の実家が神社なので、お払いをしようかってお話になったんです!!」
岡田氏はそれを聞いて明菜に明るい笑顔を向けた。
「ああそうなんだ…でも言ったでしょ?
人気者は恨まれやすいんだよ、それだけ。
それじゃ、おじさんは今眠いんだ。」
そう言って岡田氏は有無を言わさず玄関の戸を閉めた。
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